僕の家族はなによりも…。
「私は今までずっと…何人もの双子や子供達を、大人を殺してきた。その罪は必ず償わないとね。
大丈夫、地獄で小波ちゃんにちゃんと言うから。梨乃が伝えそびれたことを全部」
銀色のナイフがキラリと光り、由紀の首筋に当てられた。
「私の分まで生きてね。真莉ちゃんのこと、忘れちゃだめだよ」
由紀に背中を押されて、外へ出る。
「ほら、行きな」
「由紀、ありがとう。今までのこと、全部」
「うん、こちらこそ。来世でもまた会えるといいね」
歩みを進め、地面に足をつく。
ここから先はひとり。
だけど、気持ちは由紀とふたり。
大丈夫。きっと……。
「いってらっしゃい、気をつけてね。
大好きよ、梨乃」
首を切って自殺した由紀のその言葉は、僕の耳に届くことはなかった。