僕の家族はなによりも…。
次の日の朝、母さんは広いリビングを見渡して、二階から降りてきた僕を見つめた。
「梨乃、由紀がどこに行ったか知らない?」
母さんは朝食のパンを僕の前に置くと、それに焼きたての目玉焼きを乗せる。
「どうして?部屋にはいなかったの?」
「そうなのよ。あの子、一体どこに行ったのかしら」
母さんはリビングを出ると、使っていない空き部屋や、トイレや洗面所…二階にもあがって由紀を探していた。
「もしかしたら、外にいるのかもしれないわね……」
「僕、探してこようか?大きな木に登って、由紀を探してくるよ」
「えぇ…ありがとう。その前に朝食はきちんと取りなさい。途中で倒れたら大変よ」
「うん、わかった」