僕の家族はなによりも…。
お願い…母さん




「真莉ちゃん…!!」



僕は急いで倒れた真莉ちゃんを抱き起こした。




気を失っている……。





一心不乱に、真莉ちゃんを自分に引き寄せる。




そして、目の前にいた母さんを睨み付けた。




「…梨乃、そこで何してるの?由紀は見つけたの?」




「母さんだって…今、なにしたの」




「見てわかるでしょう、その子をこれで殴ったのよ」



そう言って、手の中にあるサンタクロースの置物を僕に見せる母さん。




あり得ない…、どうしてそんなことをする必要があるのか。




この子が母さんになにかをしたってわけじゃないのに。




すると、母さんは上着のポケットからあるものを取り出した。




「その子をこっちに寄越しなさい。殺しておいてあげるから、由紀を探してきて?」




「母さん……」





母さんがポケットから取り出したのは、小型の拳銃だった。




初めて見た、拳銃なんて。





殺す必要なんてない。この子に罪はないはず。





なのに、どうして母さんは…?





真莉ちゃんを強く抱き締めて、母さんから隠すようにする。




この子を殺してほしくないし、母さんには人殺しになってほしくない。



僕はそう願うばかりだった。




どうせ、自分の力ではなにも出来ない無力者。




小型の拳銃は僕と真莉ちゃんに向けられている。




「梨乃、お母さんの言うことが聞けないの?」




「母さんには人殺しになってほしくない。…この子を殺さないで」



僕がそう言うと、母さんは見たこともないような不気味な笑みを浮かべた。




「そう言われてもねぇ…、お母さんは自分を押さえられないのよ。梨乃、お母さんを止めて?」




バンッ!!





「…っ!」




驚いて頭を附せると、銃弾が頭をかすめて髪の毛がプツッと切れた音がした。




今、僕を撃った…?





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