never (上)
貴方の温もり
ーーーーーー「探せっ!必ず見つけろ!」
夜中に響く野太い声。
いくつもの走り回る足音。
そしてドクドクと荒々しい私の心臓。
「はぁ…はぁ…はぁ」
物陰に身を潜める。
体中の痛みと体力の限界でもう走れない。
夕方からずっと走り続けたせいで足が震える。
「……どうしたら…いいのっ……望夢っ」
取り返しのつかない状態なのはわかってる。
でも…なんでたくさんの男の人に追いかけられてるのか。
どうして私が……こんなに必死になって逃げているのか。
……分からないっ。
分からないから……今、ものすごく怖い。
「……ははっ…望夢……………今…すごく望夢に……会いたいっ」
もういないってわかってるのに……不思議と頼りたくなる。
「……会いたいっ」
夜空に手を伸ばす。
涙が私の顔を濡らして。
「……榊さんっ」
何故か貴方に……会いたいっ。
「柚莉」
「……っ!?」
伸ばしていた手が掴まれる。