never (上)
「んっ……」
柚莉……?
「柚莉?……起きたのか?」
ギュッと彼女の手を握りしめる。
自然とこうしたくなった。
「なにが分かっとるじゃ………もう依存しかけてるじゃないか」
「…………チッ。うっせぇな……」
年寄りなんだから少しは大人しく井戸端会議でもしてやがれ。
「わしはまだまだ、若いぞぉ」
何故、このジジィに心を読まれるんだ?
「あっ…あの…榊さんっ!痛いっ!!」
「あっ…悪ぃ」
「女の子は大切にな〜」
ったくさっきからほんとにこのジジィはうっせぇ…。
口を開けばいちいち引っかかる言葉をどんどん言いやがる。
「一生喋れねぇようにしてやろうか……」
「えっ?……ごめんなさいっ」
「柚莉じゃねぇよ……」
柚莉は勘違いすることが多すぎる。
ただ天然だけなのかそれとも……。
「あのっ榊さん!」
柚莉の呼ぶ声に無意識に振り返ってしまう。
「なんだ?」