never (上)
手を出せって言われても……。
「……ほら、早く」
「あっ……じゃあ」
榊さんの手に自分のを添える。
「ふっ…あらあら」
「なんだ?蘭」
「いえ、なんでも。では曽田爺、お騒がせしました」
「あっ…ありがとうございました!」
「気をつけるのじゃぞ」
ペコッと挨拶をして部屋を出た。
「……凄い」
改めて見ると広いなこの家。
なんて言うか……和風な感じで。
落ち着くなぁ……。
「そんなに珍しいか?」
「えっ?……あっ…いや…その……まぁ」
珍しいと言うか、こんなに大きな家は初めてだから…つい。
「……柚莉様…」
「はい?」
「キョロキョロしすぎです…ぷっ…ふふっ」