never (上)
ーーーーーーガチャ
「ただいま………」
返ってこないって分かっててもどうしても一人だと思いたくなくて
口にしてしまう…。
私はすぐに仏壇の前に行き手を合わせる。
そこには三人の写真が飾ってあった。
お父さん……お母さん……そして望夢。
私の母は私を産んだ後に息をひきとった。
父はそれを追うように2年後に病気で命をたった。
私は親戚に引き取られたが…そこではいい生活とも言えない日常だった。
そして……望夢…私の彼氏。
彼は私の大切な人……。
望夢は私の……私のせいで……死んだ。
私が…私がっ……私が…望夢を殺したっ。
『柚莉……ありがとうっ…』
「はっ……はぁ……っ…く…ひっ……はぁ」
突然息苦しくなり、過呼吸になって発作が起こった。
薬っ……。
鞄のポケットから薬を出して口に含む。
「はぁ…はぁ…はっぁ……」
数分後にやっと落ち着いてきた。
手元に落ちてある薬の袋に手を伸ばす。
あっ……薬がもう無い。
袋を逆さにして振るが出てこない。
明日貰うに行く時間ないからな……。
今からでも大丈夫だよね……。
少し肌寒いためいつもより厚着をしていく。
家の鍵を握りしめて外へ出た。