never (上)
高い壁重い言
「此処だ」
長い廊下を歩いて着いたのは大きな蓮の花が描かれた襖の前。
「……親父と母さんも一緒だ」
「……えっ」
夏目が言っているのは夕食のことだろうな。
「……正直、怖いです」
さっき藍さんに言われた言葉が私にはかなりのダメージだった。
私は一般人で夏目は極道のお偉いさん。
世界が違うのは言わなくても分かってる……。
それでも…なんか嫌だっ…。
「…柚莉。俺は、柚莉が一般人だろうと関係ないと思ってる」
なんだろ…夏目には私の心が読める魔法があるのだろうか。
「安心しろ…」
いつも欲しい言葉を言ってくれる。
「……ありがとうございます」
ほんとに夏目は凄いよ……。
「…入るぞ」
「おう、はいーーー」
襖をスっと豪快に開ける。
「おい、最後まで聞いてから入ってこい」
わぁ……広い……。