君を離さない。


金木犀の香りに身を纏った彼女だった。


「姫華唯(ヒメカユイ)さん。お父さんの都合で引っ越してきた。姫華さん、何か一言あれば」


ウドちゃんの紹介の後に唯は、ゆっくりと口を開いた。


「姫華唯です。
よろしくお願いします。」

唯の声は小さくて今にも消えてしまいそうな声だったが、俺には一段と大きく聞こえたほどに唯の存在が虜になった。


唯はウドちゃんに言われた席に座る。

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