君を離さない。
「あ、、、。
俺!神田雄介!よろしくなっ!」
俺はなるべく明るく声をかけた。
唯は俺の方を見てペコリと会釈をした。
「よ、よろしくね、、」
か細い声だったが俺だけに向けられたものに俺はすごく舞い上がった。
「いやあ、こんな時期に転校なんて大変だよな!」
俺はいつもの調子を取り戻し唯に話しかける。
しかし、唯は首を縦に一度動かすだけで何も発してくれなかった。
「雄介だるい。またそうやってナンパすんの?」
舞が俺を冷めた目で見る。
ナンパ。
その言葉に反応したのか唯は俺から背を向けた。
異常に嫌われたのか?
今どきのやつなら普通だろ?
女なんてすぐ裏切るじゃん。
俺はそんなことを考えながらも唯のことが気になって仕方がなかった。