ずるいひと
「ずっと三人一緒だなんて嘘だったね」
多分、え?って優也は聞き返そうとしたんだろうけど、私が彼の唇を塞いだからそれは予想でしかない。
酔っていた彼は体勢を崩して二人して固い床に寝転ぶ。
一瞬強い抵抗を感じ、私は首に腕を回して逃さず、噛みつくように彼の唇に深くキスをする。
舌を噛みきられてもいい。
死ぬほど軽蔑されてもいい。
どうせ、私のものにはならないのなら。
躊躇している気配がしばらく続いたが、不意に抵抗の力が弱まる。
「……真貴…?」
あれは真貴だったの?と言った気がしたけど、名前を呼ぶ声だけが脳みそを溶かして聞こえなくなる。
私が何も答えずにいると、彼は私の唇を舌でなぞるようにキスをする。
誰も彼もずるい。
こんなに狂おしいほど欲しくて仕方ないものを持っている人は、今日も〈友達〉のところにいる。
心にぽっかり穴が開いて不安な人は、その穴を埋めるためだけに私を求めている。
そして、私はそこにつけこんで私欲を満たそうとしている。
じゃあ、私は姉をどうして責めることができよう。
多分、え?って優也は聞き返そうとしたんだろうけど、私が彼の唇を塞いだからそれは予想でしかない。
酔っていた彼は体勢を崩して二人して固い床に寝転ぶ。
一瞬強い抵抗を感じ、私は首に腕を回して逃さず、噛みつくように彼の唇に深くキスをする。
舌を噛みきられてもいい。
死ぬほど軽蔑されてもいい。
どうせ、私のものにはならないのなら。
躊躇している気配がしばらく続いたが、不意に抵抗の力が弱まる。
「……真貴…?」
あれは真貴だったの?と言った気がしたけど、名前を呼ぶ声だけが脳みそを溶かして聞こえなくなる。
私が何も答えずにいると、彼は私の唇を舌でなぞるようにキスをする。
誰も彼もずるい。
こんなに狂おしいほど欲しくて仕方ないものを持っている人は、今日も〈友達〉のところにいる。
心にぽっかり穴が開いて不安な人は、その穴を埋めるためだけに私を求めている。
そして、私はそこにつけこんで私欲を満たそうとしている。
じゃあ、私は姉をどうして責めることができよう。