夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
短編:夜ご飯の話
春臣さんが料理をしている。
信じられない光景を前に、なぜ彼が今日に限って早く帰りたがっていたかを理解した。
「え、と……ご飯なら私が作りますけど……」
「いい。シャワーを浴びてこい」
「でも……」
(ちゃんと作れるか心配なんです、とは言えない……)
最先端のキッチンに立つ春臣さんは、その長身もあって非常に様になっていた。ワイシャツを着たままなのは少し不思議だとしても、きちんと腰に巻いたエプロンと、肘までまくった袖のポイントが高い。
そこまで夫の見た目を重視してこなかった私でも、さすがに感じ入るものがあった。これは誰でもときめくに決まっている。間違いない。
断言したところで、他人に見せるのは少し抵抗がある。私も一応嫉妬という感情を持ち合わせているのだろう。
(それにしてもかっこいい)
眼福だ、としみじみ見つめる。
その間も春臣さんは――危なっかしすぎる手つきで野菜を切ろうとしていた。
信じられない光景を前に、なぜ彼が今日に限って早く帰りたがっていたかを理解した。
「え、と……ご飯なら私が作りますけど……」
「いい。シャワーを浴びてこい」
「でも……」
(ちゃんと作れるか心配なんです、とは言えない……)
最先端のキッチンに立つ春臣さんは、その長身もあって非常に様になっていた。ワイシャツを着たままなのは少し不思議だとしても、きちんと腰に巻いたエプロンと、肘までまくった袖のポイントが高い。
そこまで夫の見た目を重視してこなかった私でも、さすがに感じ入るものがあった。これは誰でもときめくに決まっている。間違いない。
断言したところで、他人に見せるのは少し抵抗がある。私も一応嫉妬という感情を持ち合わせているのだろう。
(それにしてもかっこいい)
眼福だ、としみじみ見つめる。
その間も春臣さんは――危なっかしすぎる手つきで野菜を切ろうとしていた。