夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
短編:溺愛したがり
「んにゃっ!?」
突然背後から抱き締められ、耳を噛まれて奇声を発する。
ぱっと振り返ると、春臣さんが機嫌よさそうに微笑していた。
「ものすごい声が出たな」
「い……いきなりなんのつもりですか……」
「いつまで仕事をしているつもりなのかと思ってな」
今、私は春臣さんの言う通りパソコンと向き合っていた。
ここが会社ならさすがにこんなことは――休憩時間以外はしてこない。
でも、私が仕事をしているのは家だった。自分の部屋で済ませようと思ったけれど、春臣さんがちらちら様子を見に来るのが気になって、結局リビングで行っている。
「持ち帰りの仕事を許した記憶はないぞ」
「誰かさんのスケジュール管理が大変なんです」
「明日やればいいだろう」
「明日のスケジュールを今日作らないと大変なことになりますよ」