夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~

「だから急ぎでやっておかなきゃならないんです。邪魔したら怒りますからね」
「スケジュールを整理するだけならやらなくていい。明日にしろ」
「だめです。これで一応お給料をもらっているんですから」
「奈子」

 とがめるように言われ、キーボードの上に置いていた手を掴まれる。
 ぱたん、と春臣さんは私のノートパソコンを勝手に閉じてしまった。

「社長命令だ」
「家では社長じゃないです」
「そうだな。夫としての命令だと言ったら聞くのか?」
「……夫は命令なんてしないと思います」
「それもそうか」

 なぜかこのタイミングでまた耳を甘噛みされる。
 びく、と震えた私を見て、春臣さんは軽く息を吐いた。

「まだ続けるつもりなら、無理やりにでもやめさせる」
「どうしてですか」
「……根を詰めすぎだ。家でまで仕事をしなくていい」
「私がいつも春臣さんに思ってることと同じですね」
「家では……そこまでしていないだろう」
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