夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
短編:ちょっとトラブル
がやがやと人の声がそこかしこから聞こえてくる。
ここがオフィスのワンフロアだとは思えないほど広く、今日のために用意された装飾はきらびやかだった。
出入口からは続々とドレスコードした人々が入ってくる。テレビで見たことのある有名社長や、ゲストとして呼ばれたらしいタレントの姿が何人もいた。
フロアの端には華やかで豪勢な料理がいくつも並んでいる。その横にあるバーカウンターでは、何人ものスタッフが飲み物を用意していた。
(この感じ、久し振り……)
今日は取引先の企業が主催する懇親会だった。
以前、自社で行ったパーティーですら気後れしていた私にはやはり刺激が強すぎる。
ちら、と隣に立つ春臣さんを盗み見た。
あの日、私はこの人を社長だと知らずに接してしまった。それが今はパートナーとしてこの場に連れてこられているのだから、人生とはどうなるかわからない。
春臣さんはひたすら平然としていた。けれど、この人の多さに辟易しているのだろうな、という空気がなんとなく漂っている。
「私、本当にここへ来てよかったんでしょうか?」
「どうしてそんなことを聞くんだ?」
「だって……」
ここがオフィスのワンフロアだとは思えないほど広く、今日のために用意された装飾はきらびやかだった。
出入口からは続々とドレスコードした人々が入ってくる。テレビで見たことのある有名社長や、ゲストとして呼ばれたらしいタレントの姿が何人もいた。
フロアの端には華やかで豪勢な料理がいくつも並んでいる。その横にあるバーカウンターでは、何人ものスタッフが飲み物を用意していた。
(この感じ、久し振り……)
今日は取引先の企業が主催する懇親会だった。
以前、自社で行ったパーティーですら気後れしていた私にはやはり刺激が強すぎる。
ちら、と隣に立つ春臣さんを盗み見た。
あの日、私はこの人を社長だと知らずに接してしまった。それが今はパートナーとしてこの場に連れてこられているのだから、人生とはどうなるかわからない。
春臣さんはひたすら平然としていた。けれど、この人の多さに辟易しているのだろうな、という空気がなんとなく漂っている。
「私、本当にここへ来てよかったんでしょうか?」
「どうしてそんなことを聞くんだ?」
「だって……」