夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
自分を見下ろしてみる。
淡いピンクのパーティードレスは、やや肌の露出部分が多い。肩がむき出しになっているところはショールで隠している。
耳と首を飾っているのは真珠だった。大粒の本真珠を使ったアクセサリーは、それぞれ両耳にひとつずつ、首に三つある。華やかすぎず、地味すぎず、絶妙なチョイスだと思ったのは記憶に新しい。
これは全部春臣さんが選び、今日のために購入してくれたものだった。
ヘアスタイルのセットも化粧も、トップレベルのスタイリストたちによって手掛けられている。
「あなたの選んでくれるものにふさわしくならないとだめですね」
「俺はお前に似合うものしか選んでいないからな」
「……まだまだですよ」
率直な言葉がまっすぐ胸に響く。
改めて、外見も内面もこの人にふさわしくなろうと決意した。
「今日は自分を卑下してばかりだな」
春臣さんが私を見下ろして言う。
怖い――とは思わない。少しだけその瞳が寂しく見えてしまったせいで。