夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
「後で私の方から主催の方に連絡しますね。途中で抜けたこと、お詫びしないと」
「俺がやっておく。次回からアルコールの提供は控えるべきだということも伝えなければならないしな」
「パーティーなのに禁酒はちょっと格好がつかないような――んん」
いろいろと話すことがある気がする。なのに、させてくれない。
気付けば背中が滑ってソファに倒れこんでしまっていた。
春臣さんが覆いかぶさって、涙の跡にまでキスをしてくる。
その手が、私の背に潜り込んでドレスのファスナーに触れた。
「……着替えを頼んで覚えはないですよ」
「頼まれた覚えはないからな」
じ、と音がしてファスナーが引っ張られる。
身体への締め付けが緩くなり、隠れていた肌が露わになった。
「どうせ、俺にできるのは脱がすことだけだ」
キスが胸元へ落ちる。
他人には触れられることさえ不快感を覚えるのに、春臣さんにだけはどこに触れられても心地よさしか感じなかった。