夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
事態を理解できたのも束の間、頬にキスされた。
「っ……!」
「新妻らしい、いい反応だな」
初めて倉内さんがまともに笑った所を見てしまった。
不意打ちだったのと距離が近いせいで、一気に心臓が跳ね上がる。
(せめて、もうちょっと心の準備――!)
倉内さんはもう一回だけ私の頬をついばむと、何事もなかったように離れていく。
「帰ったら引っ越しの準備だ。いいな」
「……はい」
見せつけるだけの味気ないキスなのに、触れられた場所が熱くて胸がざわつく。
あの笑顔も心臓に悪すぎた。
(……今まで男の人にこんなことされた経験――)
考えて、自分で気付く。
(私、普通にやり取りできてる)
あまり接したことのないはずの倉内さんと、他の人と同じように会話し、触れることができている。
逃げたいとも思わず、逃げなければと思うこともなかった。
初対面の印象が悪くなかったからかもしれない。
(もしかして、男性不信も克服できる……?)
離婚するまで、あと一年。
お互いに割り切っている以上、困ったことにはならないだろう。
――と、思っていた。
「っ……!」
「新妻らしい、いい反応だな」
初めて倉内さんがまともに笑った所を見てしまった。
不意打ちだったのと距離が近いせいで、一気に心臓が跳ね上がる。
(せめて、もうちょっと心の準備――!)
倉内さんはもう一回だけ私の頬をついばむと、何事もなかったように離れていく。
「帰ったら引っ越しの準備だ。いいな」
「……はい」
見せつけるだけの味気ないキスなのに、触れられた場所が熱くて胸がざわつく。
あの笑顔も心臓に悪すぎた。
(……今まで男の人にこんなことされた経験――)
考えて、自分で気付く。
(私、普通にやり取りできてる)
あまり接したことのないはずの倉内さんと、他の人と同じように会話し、触れることができている。
逃げたいとも思わず、逃げなければと思うこともなかった。
初対面の印象が悪くなかったからかもしれない。
(もしかして、男性不信も克服できる……?)
離婚するまで、あと一年。
お互いに割り切っている以上、困ったことにはならないだろう。
――と、思っていた。