夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
・これって現実ですか?
「――で、奈子はいつ結婚するの?」
久し振りにあった大学の友人たちから問い詰められ、うろたえてしまう。
「あのね……。みんなの結婚が続いてるからって、私まで一緒に結婚するとは限らないでしょ?」
曖昧にぼかしたものの、そもそも私にはそんな話が出るような相手すらいない。
更に言えば恋愛経験がまったくと言っていいほどない。
なぜなら、男性というものが苦手だから。
「奈子ってさ、大学の時から思ってたけど……秘密主義だよね」
「そうそう、私たちにも彼氏の存在を隠し続けてたり」
「結局、どこの誰と付き合ってたか分からないまま卒業だもんねー」
「いい加減教えてくれてもいいんじゃない?」
「あ、あはは……」
その『大学時代の恋人』というのも架空の存在である。
そういう相手がいるとでも言わなければ、親切すぎる友人たちは積極的に出会いの場を用意してしまう。
それを避けるためにも、心苦しく思いながら嘘をついてきた。
(私だってなんとかしたいよ。でも、苦手なものは苦手なの)
男性嫌いのきっかけは幼稚園の頃。
近所に住んでいた男の子に意地悪をされていたせいで、どうも男が近付くと反射的に身構えてしまうようになった。
私だって、その辺りを歩く男性が突然セミの抜け殻を見せつけてきたり、水風船をぶつけてくるはずがないと分かっている。
それでも一度刻まれてしまったトラウマというのはなかなか消えない。
大人になればさすがに緩和されたけれど、仕事や日常生活で接する程度ならばともかく、プライベートでの付き合いとなるとまだ抵抗があった。
「でもさ。結婚って考えるなら大学の時から付き合ってる男じゃなくてもいいんじゃない?」
友人の一人が私を見てにやりと笑う。
久し振りにあった大学の友人たちから問い詰められ、うろたえてしまう。
「あのね……。みんなの結婚が続いてるからって、私まで一緒に結婚するとは限らないでしょ?」
曖昧にぼかしたものの、そもそも私にはそんな話が出るような相手すらいない。
更に言えば恋愛経験がまったくと言っていいほどない。
なぜなら、男性というものが苦手だから。
「奈子ってさ、大学の時から思ってたけど……秘密主義だよね」
「そうそう、私たちにも彼氏の存在を隠し続けてたり」
「結局、どこの誰と付き合ってたか分からないまま卒業だもんねー」
「いい加減教えてくれてもいいんじゃない?」
「あ、あはは……」
その『大学時代の恋人』というのも架空の存在である。
そういう相手がいるとでも言わなければ、親切すぎる友人たちは積極的に出会いの場を用意してしまう。
それを避けるためにも、心苦しく思いながら嘘をついてきた。
(私だってなんとかしたいよ。でも、苦手なものは苦手なの)
男性嫌いのきっかけは幼稚園の頃。
近所に住んでいた男の子に意地悪をされていたせいで、どうも男が近付くと反射的に身構えてしまうようになった。
私だって、その辺りを歩く男性が突然セミの抜け殻を見せつけてきたり、水風船をぶつけてくるはずがないと分かっている。
それでも一度刻まれてしまったトラウマというのはなかなか消えない。
大人になればさすがに緩和されたけれど、仕事や日常生活で接する程度ならばともかく、プライベートでの付き合いとなるとまだ抵抗があった。
「でもさ。結婚って考えるなら大学の時から付き合ってる男じゃなくてもいいんじゃない?」
友人の一人が私を見てにやりと笑う。