夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
・デート中も溺愛するんですか?
日曜日がやって来た。
悩みながら選んだ服は、一応とっておきのもの。
ただし、春臣さんからのコメントは特になかった。
(残念だけど……まあ、いいか。予想はしてたし)
店の並ぶ通りを歩きながら、隣を歩く春臣さんを盗み見る。
会社ではスーツを、家ではシャツ姿を、寝る時に寝間着を見るぐらいで、よく考えればこんな私服を見るのは初めてだった。
ジャケットなのもあってかっちりした印象は消えていないけれど、スーツ姿よりも背の高さが目立って見える。
そのせいで歩幅が合わず、私は小走りに追いかける羽目になった。
時々、周囲の視線がまとわりつく。
私にではなく、春臣さんに。
(モデルみたいだもんなぁ……)
よく芸能人の目撃情報がある街ということもあって、もしかしたらそうではないかという好奇の気配を感じる。
(ある意味芸能人ではあるのかもしれないけど)
春臣さんを目で追いかける人たちは、その後ろを追いかける『妻』の姿があることになど気付いていないだろう。
「春臣さん」
さすがに疲れて呼び止めると、春臣さんは不思議そうに振り返った。
「どうした?」
「あの、もう少しゆっくり歩いてくれると嬉しいです」
「……?」
「追いつけなくなるので……」
いつの間にかすっかり呼吸が荒くなってしまっている。
夏の盛りでもないのに、汗まで滲んできた。
「悪い」
「いえ、大丈夫です」
「……大丈夫じゃないだろう」
春臣さんが近付いてくる。
そして、肩で息をしていた私の手を取った。
「休むか?」
首を横に振って応える。
「……気が付かなかった。すまない」
「本当に大丈夫なんです。私こそ……すみません」
「いや、今日は一人じゃないことをもっと意識しておくべきだったな」
そっと春臣さんが背中をさすってくれる。
そういう所は優しいと思った。
悩みながら選んだ服は、一応とっておきのもの。
ただし、春臣さんからのコメントは特になかった。
(残念だけど……まあ、いいか。予想はしてたし)
店の並ぶ通りを歩きながら、隣を歩く春臣さんを盗み見る。
会社ではスーツを、家ではシャツ姿を、寝る時に寝間着を見るぐらいで、よく考えればこんな私服を見るのは初めてだった。
ジャケットなのもあってかっちりした印象は消えていないけれど、スーツ姿よりも背の高さが目立って見える。
そのせいで歩幅が合わず、私は小走りに追いかける羽目になった。
時々、周囲の視線がまとわりつく。
私にではなく、春臣さんに。
(モデルみたいだもんなぁ……)
よく芸能人の目撃情報がある街ということもあって、もしかしたらそうではないかという好奇の気配を感じる。
(ある意味芸能人ではあるのかもしれないけど)
春臣さんを目で追いかける人たちは、その後ろを追いかける『妻』の姿があることになど気付いていないだろう。
「春臣さん」
さすがに疲れて呼び止めると、春臣さんは不思議そうに振り返った。
「どうした?」
「あの、もう少しゆっくり歩いてくれると嬉しいです」
「……?」
「追いつけなくなるので……」
いつの間にかすっかり呼吸が荒くなってしまっている。
夏の盛りでもないのに、汗まで滲んできた。
「悪い」
「いえ、大丈夫です」
「……大丈夫じゃないだろう」
春臣さんが近付いてくる。
そして、肩で息をしていた私の手を取った。
「休むか?」
首を横に振って応える。
「……気が付かなかった。すまない」
「本当に大丈夫なんです。私こそ……すみません」
「いや、今日は一人じゃないことをもっと意識しておくべきだったな」
そっと春臣さんが背中をさすってくれる。
そういう所は優しいと思った。