記憶の中の貴方
◇記憶の中の貴方
その現場を見に来ている十数人の野次馬に混ざる。
捜査員に気付かれてはいけないということで、あまり前には行けなくて、現場の様子は見えない。
「あの喫茶店の店長さんが亡くなったそうよ」
「いい人だったのに」
「もう会えないなんて、信じられない」
野次馬の会話のほうがよく聞こえる。
周りの声に意識を集中させ、重要そうなことを記憶する。
「買い出し中に殺されたって」
「彼の日課だったよね」
そう言えば、そうだった。
光輝は、毎朝同じ時間にここを通る。
それを知っての犯行だとすると、光輝の知り合いが犯人の可能性も考えられる。
「通り魔だとしたら、もうここを通れないや」
「凶器が見つからないって言っていたから、怖いね」
凶器を持ち去った……というだけで、通り魔と決めつけるのは違う。
顔見知りでも、凶器を持ち去ることは出来る。
「どうして店長さんが殺されたのかしら……」
「いつも笑っててウザかったとか?」
「そんな理由で?」
そんな会話をしている、斜め後ろにいる女性二人はその結論を冗談にした。
だが、私はそうはできなかった。
顔見知りの犯行にした場合、そのようなことも動機として考えられる。
捜査員に気付かれてはいけないということで、あまり前には行けなくて、現場の様子は見えない。
「あの喫茶店の店長さんが亡くなったそうよ」
「いい人だったのに」
「もう会えないなんて、信じられない」
野次馬の会話のほうがよく聞こえる。
周りの声に意識を集中させ、重要そうなことを記憶する。
「買い出し中に殺されたって」
「彼の日課だったよね」
そう言えば、そうだった。
光輝は、毎朝同じ時間にここを通る。
それを知っての犯行だとすると、光輝の知り合いが犯人の可能性も考えられる。
「通り魔だとしたら、もうここを通れないや」
「凶器が見つからないって言っていたから、怖いね」
凶器を持ち去った……というだけで、通り魔と決めつけるのは違う。
顔見知りでも、凶器を持ち去ることは出来る。
「どうして店長さんが殺されたのかしら……」
「いつも笑っててウザかったとか?」
「そんな理由で?」
そんな会話をしている、斜め後ろにいる女性二人はその結論を冗談にした。
だが、私はそうはできなかった。
顔見知りの犯行にした場合、そのようなことも動機として考えられる。