俺とアイツの化学反応
入学式からの出会い~職員室までの階段ダッシュ~
俺は先生になってからは、名前は一緒だけど、黒髪ぼさぼさのかつらをかぶり、分厚い伊達メガネをかけた。そっちのほうが、生徒と関わることが少なくなると思ったからだ。ちなみに、先生になるための試験で俺は正体を明かすと、迷わず科学の免許を受けさせてくれたし、免許取ったら取ったで、科学の先生にしてあげる、という約束はしてくれた。
ちなみに、どうでもいい余談ではあるが、翔騎も高校教師の免許を取り、今年から同じ学校の先生として、働くことになった。
でも、人生スイーツみたいにそう甘くないし、難しいなと思った。俺は、科学の先生だけすればいいと思っていた。
でも実際に、4月になって入社(入学ともいうか?)知らされたのは、1年C組担任の、科学部顧問の、全学年全クラスの科学を、受け持つことになった。つまり、全校生徒に、科学を教えなくてはいけなくなった。
入社して早々、俺は先生を辞めたいと思った。でも、ここで辞めたらあのくそばばぁになんて言われるか。よりによって、全校生徒と関わることになるとは。めんどくさい。翔騎にも笑われた。ちなみに、これまた、どうでもいい余談ではあるが、翔騎は養護教諭兼、数学教師だ。
____入学式が無事に終わり、ほっとしたのもつかの間。女が寄ってきた。いや寄ってきたには語弊があるか。その子はほのかに具合が悪そうで、泣きそうな顔をしていた。髪が顔にへばりついていて、たぶん友達を探していたんだろう。汗をかいていて、肩で息をしている。まぁ、この学校私立だし、やけに無駄にでかいからな。
何がって?校舎に決まっている。
よって考えられるのは多分迷子か?
というか確かこの子は、1年C組の雲母だったはず。苗字?んなもん忘れたわw
だって、生徒の名前全校生徒全部覚えなくちゃいけないしぃ?全校生徒と先生足して600ぐらいいるしぃ?覚えられるわけないしぃ?名前覚えてることありがたく思えよw
「先生!」
「何ですか?」
「星雲先生!何で職員室行こうとしてるんですか!?」
急に呼び止められたと思ったら、怒られたしww
「これから、会議」
「1年C組の担任なんだから、まず教室じゃないんですか!?」
「それよりも先に会議なんだよ。知らないのにそういうこと言わないほうが良いぞ。ガキなんだから先生の事情のなんか知らねぇだろ?」
あ~これだから、ガキは。事情も知らねぇくせしてごちゃごちゃうるせぇし。ガキじゃなくてもそれ以前に人とかかわるのは嫌なんだよ。
あの校長マジ意味わかんねぇ。1年C組の担任と1年だけの科学の先生かと思いきや、全学年見ろとか言うし。
ちなみに俺は、科学であれば何でもできるのでさらにメンドイ。物理だったり、化学だったり、生物だったり、天体だったりetc…。
「先生!確かに事情も知らずに色々言うのはすいませんでした。でも、私はガキじゃないですから。もう立派な高校生だし、名前だってちゃんとあるので。私の名前は…」
「はいはい。立派な高校生といたって入学したばっかだし、そもそも俺は全学年の科学を見ることになってるから、全校生徒覚えなくちゃいけないんだよ。さらに俺は新任教師だから、先生の名前も覚えなくちゃいけないし合計で600人ぐらいいるんだよ。そんなすぐに覚えられるかって」
俺は話を遮って突き放すように言った。あ~多分こいつ後々好きになりましたとか言ってなついてくる感じだな。まぁ、相手はしないけど。というか恋をしている時間がもったいない。恋をするぐらいなら、研究に没頭して新しいことなどの発見に繋がる方がいいに決まってる。
とりあえず、これ以上話すのがめんどくさいし、傷つけっぱなしだと後でほかの先生に言われたら迷惑だし、フォローしていくか。あ~会議の時間まであと2分しかないし‼ふざけんなよ、本当。
「とりあえず会議まであと2分しかないし、もう行くから。さっきはアツくなりすぎた。少しばかり人が苦手なもんでな。ごめんな。あとガキっていって悪かったな。雲母。苗字じゃなくて名前でごめん。苗字覚えたら、苗字で呼ぶわ。とりあえずもう行くからな」
早口でまくし立てるように言ったのにもかかわらず、彼女は顔を真っ赤にしてうつむいていた。その顔を見たとき一瞬だけ、胸の鼓動が早くなった気がした。ン?なんだこれ。気のせいか。つうか名前読んだだけで、顔真っ赤の耳も真っ赤ってw初々しいかよ(笑)
「星雲先生!」
俺は呼び止められた。時間がねぇのにと思いながらも今度は階段越しに振り返り、しっかり聞く。
「何?」
「私は久留米。久留米雲母といいます!でも、名前で結構です。名前で呼んでください」
「分かった。また後で教室でな」
「はい!」
その時の彼女はこぼれんばかりのキラキラな笑顔で俺を見送った。まるで、星のように。
俺は職員室に続く階段ダッシュをしている途中、ついさっきの彼女の言動、そして表情を思い出していた。
あの時、間違いなく俺の胸はドクッといった。まさかとは思うが恋か?それも生徒に?
いやいやそんなわけない。自慢じゃないが俺は誰にも恋をしたことがないし、本気になったこともない。人はただの道具に過ぎない。人を利用してだれだって成り上がるんだ。俺だって、ばばぁの道具に過ぎない。
そういえば久留米か。待てよ。久留米って、アイツ『久留米雲母』って言ったよな?前に久留米財閥の現社長を務める久留米翔に招待されて、久留米グループが開くパーティに行ったことがある。その時に一人娘の子も『久留米雲母』って名前だったような?確か『久留米雲母』って名前だったけどその頃は確かまだ幼かったはず。
人のことなんかいつもはどうでもよくてまたっく気にしないのに、この時の俺はどうしても久留米のことが気になって、頭から離れなかった。もしかしたらこの時から、俺とアイツは始まっていたのかもしれない。恋愛というやつが。
ちなみに、どうでもいい余談ではあるが、翔騎も高校教師の免許を取り、今年から同じ学校の先生として、働くことになった。
でも、人生スイーツみたいにそう甘くないし、難しいなと思った。俺は、科学の先生だけすればいいと思っていた。
でも実際に、4月になって入社(入学ともいうか?)知らされたのは、1年C組担任の、科学部顧問の、全学年全クラスの科学を、受け持つことになった。つまり、全校生徒に、科学を教えなくてはいけなくなった。
入社して早々、俺は先生を辞めたいと思った。でも、ここで辞めたらあのくそばばぁになんて言われるか。よりによって、全校生徒と関わることになるとは。めんどくさい。翔騎にも笑われた。ちなみに、これまた、どうでもいい余談ではあるが、翔騎は養護教諭兼、数学教師だ。
____入学式が無事に終わり、ほっとしたのもつかの間。女が寄ってきた。いや寄ってきたには語弊があるか。その子はほのかに具合が悪そうで、泣きそうな顔をしていた。髪が顔にへばりついていて、たぶん友達を探していたんだろう。汗をかいていて、肩で息をしている。まぁ、この学校私立だし、やけに無駄にでかいからな。
何がって?校舎に決まっている。
よって考えられるのは多分迷子か?
というか確かこの子は、1年C組の雲母だったはず。苗字?んなもん忘れたわw
だって、生徒の名前全校生徒全部覚えなくちゃいけないしぃ?全校生徒と先生足して600ぐらいいるしぃ?覚えられるわけないしぃ?名前覚えてることありがたく思えよw
「先生!」
「何ですか?」
「星雲先生!何で職員室行こうとしてるんですか!?」
急に呼び止められたと思ったら、怒られたしww
「これから、会議」
「1年C組の担任なんだから、まず教室じゃないんですか!?」
「それよりも先に会議なんだよ。知らないのにそういうこと言わないほうが良いぞ。ガキなんだから先生の事情のなんか知らねぇだろ?」
あ~これだから、ガキは。事情も知らねぇくせしてごちゃごちゃうるせぇし。ガキじゃなくてもそれ以前に人とかかわるのは嫌なんだよ。
あの校長マジ意味わかんねぇ。1年C組の担任と1年だけの科学の先生かと思いきや、全学年見ろとか言うし。
ちなみに俺は、科学であれば何でもできるのでさらにメンドイ。物理だったり、化学だったり、生物だったり、天体だったりetc…。
「先生!確かに事情も知らずに色々言うのはすいませんでした。でも、私はガキじゃないですから。もう立派な高校生だし、名前だってちゃんとあるので。私の名前は…」
「はいはい。立派な高校生といたって入学したばっかだし、そもそも俺は全学年の科学を見ることになってるから、全校生徒覚えなくちゃいけないんだよ。さらに俺は新任教師だから、先生の名前も覚えなくちゃいけないし合計で600人ぐらいいるんだよ。そんなすぐに覚えられるかって」
俺は話を遮って突き放すように言った。あ~多分こいつ後々好きになりましたとか言ってなついてくる感じだな。まぁ、相手はしないけど。というか恋をしている時間がもったいない。恋をするぐらいなら、研究に没頭して新しいことなどの発見に繋がる方がいいに決まってる。
とりあえず、これ以上話すのがめんどくさいし、傷つけっぱなしだと後でほかの先生に言われたら迷惑だし、フォローしていくか。あ~会議の時間まであと2分しかないし‼ふざけんなよ、本当。
「とりあえず会議まであと2分しかないし、もう行くから。さっきはアツくなりすぎた。少しばかり人が苦手なもんでな。ごめんな。あとガキっていって悪かったな。雲母。苗字じゃなくて名前でごめん。苗字覚えたら、苗字で呼ぶわ。とりあえずもう行くからな」
早口でまくし立てるように言ったのにもかかわらず、彼女は顔を真っ赤にしてうつむいていた。その顔を見たとき一瞬だけ、胸の鼓動が早くなった気がした。ン?なんだこれ。気のせいか。つうか名前読んだだけで、顔真っ赤の耳も真っ赤ってw初々しいかよ(笑)
「星雲先生!」
俺は呼び止められた。時間がねぇのにと思いながらも今度は階段越しに振り返り、しっかり聞く。
「何?」
「私は久留米。久留米雲母といいます!でも、名前で結構です。名前で呼んでください」
「分かった。また後で教室でな」
「はい!」
その時の彼女はこぼれんばかりのキラキラな笑顔で俺を見送った。まるで、星のように。
俺は職員室に続く階段ダッシュをしている途中、ついさっきの彼女の言動、そして表情を思い出していた。
あの時、間違いなく俺の胸はドクッといった。まさかとは思うが恋か?それも生徒に?
いやいやそんなわけない。自慢じゃないが俺は誰にも恋をしたことがないし、本気になったこともない。人はただの道具に過ぎない。人を利用してだれだって成り上がるんだ。俺だって、ばばぁの道具に過ぎない。
そういえば久留米か。待てよ。久留米って、アイツ『久留米雲母』って言ったよな?前に久留米財閥の現社長を務める久留米翔に招待されて、久留米グループが開くパーティに行ったことがある。その時に一人娘の子も『久留米雲母』って名前だったような?確か『久留米雲母』って名前だったけどその頃は確かまだ幼かったはず。
人のことなんかいつもはどうでもよくてまたっく気にしないのに、この時の俺はどうしても久留米のことが気になって、頭から離れなかった。もしかしたらこの時から、俺とアイツは始まっていたのかもしれない。恋愛というやつが。