夜を迎え撃て
落下する私を、きみの手が繋ぎ止めた。
目を瞠る私を抱きとめ、自分の胸に閉じ込めた。
この体を救おうと引き寄せた。宙に自ら投げ出した頭を、体を、それでも守ろうと君はした。
涙が溢れて張り裂けそうな想いの中を、必死に願う。
どうか。どうか、どうか。私はどうなってもいい。私はどうなってもいいからどうか、このひとだけは生きて、この世界で命を繋がせてください。
もしくは意識を失った先で次目覚める場所があったなら、私があなたを救おう。
驚かせるかもしれない。
目があったら、出逢えたら、泣いてしまうかもしれない。
でも笑うんだ。私だってバレてしまわないように、男の子っぽく振る舞ったりしてみよう。可愛くないって思われるかもしれない。それでもいい。それがいい。
怖がらせたらごめん。きみを仮に私が救うとき、それはあなたを突き放すときだと思う。
そしたら私は生きたいと伝えよう。「またね」って伝えよう。そして目覚められたら、本当のことを言おう。きみが言おうとしてくれたことを聞こう。
もしそこにあなたがいて、はじめに声をかけてくれるならそうだな。きっと言うことはわかってる。
もう、すぐそこに地面が差し迫っている。