夜を迎え撃て
三日目
名前なんつうの、と訊かれたので久野恭平、と応えたら、なんて呼べばいいって問われた。お好きに、と返した俺に彼女は何度か口籠ってから「恭平」と控えめに呼んだ気がする。
そのあと自分を親指で示してミオって言うから、俺も「よろしくミオ」って言ったら、もう何度目かのなんとも言えない顔をした。
気恥ずかしさとも違う、痛痒さとも少し似た。
強いて言うなら喉に魚の小骨が引っかかったときのような、ありがちで稀有な感覚。