夜を迎え撃て
「ちょ、ミオ。お前娘役だろまだ入ってくんの早いぞ」
「どっかの誰かさんが子どもに向かってガチで鼻の下伸ばしてっから自主規制入んないとなーと思って」
「誰が鼻の下伸ばすか!」
「えーっ? 恭ちゃんルナにときめいちゃったの!? 嬉しいっ! 恭ちゃん、じゃあルナのお嫁さんにしてあげるーっ」
「婿じゃなくて?」
ミオを押し退けてぎゅーっと真っ向から抱きつかれて苦しい、と思うのに可愛いから無下に出来ない。苦笑いしていたら押し退けられて猫が毛を逆立てるような反応をしたミオが反対からぐい、と俺の腕を取った。
「ルナ! 恭平はやめとけこいつお前に本気で手をだしかねない変態だぞ」
「出さねーわ!」
「いいよ! だって恭ちゃんはルナの将来のお婿さんだもん! ねーっ」
「ねーと言われても」
「大体ミオちゃんだってずるい! 恭ちゃんと二人っきりでどっか行ったりしてんのルナ知ってるんだから! ひとのもの盗るなんて意地汚いわよこの…っ泥棒猫!」
「ルナほんとお前どこでそれ覚えたの」
「恭ちゃんは渡さないっ!」
「こっちだって渡さない!」
「いだだだだだ! 両サイドから腕引くなもげる! 息子! 息子役! セナ警察呼べ」
「警察ーっ!!」
「いや叫ぶんじゃなくて電話しろ!!」
「───ごめんください。愛人の息子の拓真です。覚えてますか、父さん」
「だーっ! どんなドロドロままごとだよややこしいっ!!」