幸せの扉を探して

翌々日に
架瑠のお母さんが
また、マンションに来て
「明日の夕方
相澤さんとお茶をする予定
ですから、あなたも来なさい。」
と、言われた。
「私もですか?」
「そうよ。あなたも
架瑠にふさわしいお相手を
しっかり見て
自分の身分を把握しなさい。」
と、言うと帰っていった。

なぜ、私が会わないと
いけないのだろうか?

身分ってなに?

桜は、架瑠の母親と
会った日から
食欲が落ち
眠れずにいた。

だが、毎日かかる架瑠からの
電話には、元気に対応をした。


翌日の夕方
架瑠のお母さんから
指定された場所へ着くと

着物姿でオーラのある女性と
とても綺麗で上品な女性と
架瑠のお母さんが、
テーブルに座っていた。
「遅くなりまして、申し訳ありません。」
と、脇に立ち頭を下げると
「時間ぐらいきちんと守りなさい。
まったく、時間にルーズとか
どんな育ちかたをされているやら」
と、架瑠お母さんに言われ
下を向いていると
「よろしいではないですか。
お仕事されているのでしょ
さあ、お座りになって。」
と、相澤の奥様に言われた。
「失礼致します。」
と、椅子に腰かけた。

架瑠のお母さんから
瞳子さんの紹介があり
瞳子さんは、流暢に五か国語を話せ、
ピアノはプロなみ
茶道は、師範級とのこと。
年は、私達より一つ上とのことだった。

私にいったい、
どうしろと言われているのか
わからずに
三人の話を、ただ黙って聞いていた。

しばらくすると
話しも終わり解散となった。

帰り際に瞳子さんから
「架瑠さんとは、パーティー等で
良く一緒になりますの。
話しもとても合いますので
きっと良き夫婦になれると
思います。
何もご心配ならさないで下さい。」
と、言われた。

私は、瞳子さんと相澤の奥様に
頭を下げて、その場を去った。

歩きながらも
涙は止まることがなかった


「桜ちゃん?」
と、手首を取られ
振り向くと
その人は、びっくりした顔をして
黙って私の手を引いて
そのまま歩きだし
タクシーを止めて乗り込んだ。

「あの、颯天先生、すみません。」
「大丈夫?落ち着いた?」
「・・・はいっ・・なんとか」
「ついたから、降りて。」
と、言われて降りたのは
私達が勤める事務所だった。
「誰もいないから、入って」
「あ・・はい。」
颯天先生の副所長室へと案内された。
< 22 / 104 >

この作品をシェア

pagetop