幸せの扉を探して
あの日・・・
アメリカから帰国した次の日
親父に呼ばれた。
「昨夜、帰ったばかりなんだ
手短にしてくれ」
と、言うが
「まぁ、座れ」
と、いって
親父とお袋は、座った。
「今、進めているプロジェクトは
わかっているな
あれは、全て相澤財閥が
資金を出している」
「なぜ?半々の話だから
俺は、動いたんだ。」
「その予定だったが・・・
相澤さんが、うちに貸しをつくりたいと。」
「なぜ?」
「隠していてもしかたないから
話すが、相澤さんのお嬢さんを
お前も知っているだろう?」
「それが?」
「その瞳子さんがお前に
ずっと想いを寄せていたらしく」
「なにを言ってる?
俺は、桜と結婚してるんだぞ。」
「あんな・・孤児院で育っ・・・」
と、吐き捨てるように言う母親に
俺は、素手でバーンとテーブルを
叩きつけ
「話しにならない。帰る。
そのプロジェクトは、
勝手にやれば良い。」
と、言って立ち上がると
親父が俺の足元に紙を投げた
下を向くと・・・
●新の親の会社
小林建設は、三菱銀行と取引があり
融資も受けている。
●桜の友人の永莉の事務所は
全土の三菱銀行の仕事を行っている
●桜が育った孤児院の土地は
三菱銀行の物
それに相澤財閥から多額の寄付も
受けていた。
その紙を見て、架瑠は座り込んで
しまった。
そこに追い討ちをかけるように
「このプロジェクトが
失敗すれば、うちも三菱銀行も
倒れる。
何千と言う社員と何万と言う
その家族を路頭に迷わせる事になる。
お前は、自分の幸せのためだけに
全てを見捨てるんだな。」
と、言われて
拳を握るしかなかった。
その上に
「前回のように
自分体を傷つけるような
無様な事は絶対にするな。
わかったな。
今夜は、相澤さんの家族と
食事をする。
瞳子さんに恥をかかすな
瞳子さんは、バツイチの
お前でも構わないとおっしゃってる。
良いな!!
あの女とは、一日も早く
離婚しろ。
こちらで代筆しても良いが。」
と、言うとリビングから
出て行った。
母親は、何か言っていたが
俺は、やっと立ち上がり
家をでて会社に向い
副社長室に入ると鍵をしめ
頭を抱えてソファーに座り込んだ。
桜っ‥‥‥ゆなっ‥‥
離れたくない‥‥
俺の命より‥‥‥大切な‥‥桜っ‥‥
会食の時間になり
親父からの電話で
会食場に向かった。
新も桜の大切な友人の沢田も
桜が育った思い出の孤児院も
護らないと・・・
社員や社員の家族も・・・
俺は、心を壊すしかなかった
俺が我慢したら‥‥‥‥
俺さえ我慢したら‥‥‥‥‥‥
桜が、自分の親のせいで
入院したのも知らずに
誰にも相談も出来ずに