幸せの扉を探して
名前**
左手に暖かい温もりを感じ
目を開け左手を見ると
黒髪みと繋がれた手・・
架瑠・・・
なぜ、架瑠が分娩室にいたのか
なぜ、今もこうしているのかも
わからないが・・
桜の気持ちは、穏やかだった・・
本物の架瑠だよね・・と
髪に触れてみる
自分の髪に優しく触れられる
感覚に目を覚ます・・架瑠
顔をあげると
愛しくてたまらない
桜の目とあった。
桜の目を見つめながら
桜に唇にキスをする。
ありがとうの気持ちを込めて
離れては、何度も繰り返す
キスに・・
桜は、おかしくて
クスクス、笑ってしまうと
「ん?」
と、首を傾げる架瑠に
「ごめんね。なんだか
結婚していた頃みたいで。」
「あっ、ごめん。嫌だった?」
と、架瑠に言われて
首をふりながら
「そんなことない。」
と、架瑠の顔をみる
「ん?」
と、架瑠
「痩せたね?目の下に隈も。」
「そう?妊婦の桜に言われたくないな
桜こそ、痩せちゃって。」
と、言うと
苦笑いをする桜に
架瑠は、もう一度キスをして
「ごめんね。辛い思いをさせて。」
と、言う
桜は、何度も首を横にふる。
そんな桜を架瑠は、抱き締めて
「ありがとう。産んでくれて。
びっくりしたけど、凄く嬉しかった。」
「ほんと?」
「うん、本当。
あの日、正直、出来たら良いと
思って避妊しなかったんだ。
自分勝手で、ごめん。」
「ううん。嬉しかったの
架瑠との赤ちゃんが
いるとわかって。
でもね、大丈夫だよ。
架瑠と瞳子さんには
迷惑かけないから。
私の、私だけの子供として
ちゃんと頑張って育てるから。」
と、言う桜に
架瑠は、たまらなかった。
「桜。ゆなっ、ゆなだけを愛してる。」
と、桜の瞳を見て伝え
桜にまた、キスをした。
桜は、答えたいが
答えて良いものかわからずに
涙がポロリと流れた。
「あっ、名前考えてくれる?」
「いいの?俺が考えて。」
「本当は、自分で考えるつもり
だったけど。
やっぱり、架瑠に決めて欲しい。」
と、言うと架瑠は、桜のおでこに
自分のおでこをくっつけて
「ありがとう。」
と、言った。
それからは、携帯を見ながら
二人で沢山の名前を考えた。
そして・・結俐(ゆうり)と決めた。
人と人とを結びつけ
人の心を大切にできる賢い子に
育って欲しいと願いを込めて決めた。
・・・柳川 結俐・・・
名字は、違っても
架瑠の大切な子供。