幸せの扉を探して

和解**


それからは、みんなで
これから先の話をしたり
楽しく過ごした。

永莉と颯天先生は、
「さっきの続きを・・・」
と、二人で帰って行った。

永莉の真っ赤な顔をみていると
すごく嬉しかった。

新君は、
「落ち着いたら
親爺に顔を見せてくれ」
と、架瑠と話して帰って行った。

彰さんとあかねさんは
「先に休むね。」
と、二人で部屋に引き上げた。

架瑠は、シャワーだけ浴びて
あかねさんが用意してくれた
下着や部屋着を着て
今、桜がいる部屋へと・・

結俐は、ベビーベッドで寝ていた。

あかねさんが架瑠用の布団を
私の布団の横にひいてくれていた。

「大丈夫?疲れたんじゃない?」
と、言う架瑠に
「大丈夫。
でも、色んな事を聞いて、
心が落ち着かないの。」
と、桜が答えると
架瑠は、桜をそっと抱き締めた。

「ごめん。辛い思いをさせて。
携帯が壊れたと言ったのも‥‥‥
沢田んちにいたのも‥‥‥‥
本当に、ごめん。」
「架瑠が悪いんじゃない。
私が弱いから。
皆に心配かけちゃった。
でも、今は架瑠がいる。
だから、大丈夫だよ。」
「本当に、あの女には、
指一本ふれてないから。」
「うふっ、ありがとう。」
「あ~っと?」
「なに?」
「前に、桜と新が楽しそうに
歩いている姿をみて・・・」
「ん?あ~あ、わかった。
健診に一緒に行ってもらったの
いつも、あかねさんと
行くのだけど、あかねさんが風邪をひいて
私達にうつしたら行けないって。
その日、永莉ちゃんも一緒にいけなくて。
一人で、大丈夫って、言ったけど
永莉ちゃんが、私が倒れたのを
二回も見ているから
凄く不安がるの。
だから、颯天先生が新君に
頼んじゃって
新君にも迷惑かけちゃった。

だけど、夫婦でも恋人でもない
友達だから、俺は中には
入らないよって、車で待ってくれたの。
その帰りに買い物に
付き合ってもらったから
その時かな。」
「そっか、ごめん。
新に凄く嫉妬したんだ。」
「もぅ・・新君が、
私を好きになることないし
私は、架瑠との間にできた
結俐を護る事で精一杯だから。」
「桜。
ゆなっ、さっきも言ったけど
もう少しだけ待ってて。
だけど、SHISEIDOは辞める。
両親との縁も切る。
だけど仕事の事は心配しないで。」
「うん、わかった。
仕事の事は心配してないよ。
顔色も悪いし、痩せてしまってる
少しゆっくりして欲しいだけ。」
「桜と離れて
桜が作ったもの
桜と一緒じゃないと
食べる気にならなくて。
それに、桜がいないと熟睡
できなかった。
桜のあの夜の悲しそうな顔が
いつまでも頭から離れてくれなくて。

ゆなっ、‥‥‥愛してる。」

「私も。」

二人でキスを沢山して
その日は、眠った。

桜は、夜、何度か結俐に母乳を
飲ませに起きたが
架瑠は、
一度も目を覚ます事はなかった。

だけど、私が布団に入ると
自分の腕の中に抱き寄せる
架瑠がいるだけで
こんなに、安らぐ
架瑠がいるだけで
こんなに、強くいれる。

そんなことを思いながら
疲れた顔をしている架瑠に
キスをして架瑠に包まれて目を閉じる。



それぞれの‥‥‥幸せの扉は‥‥‥

違うけど‥‥‥‥‥

みんなの開けた扉が‥‥‥‥‥

幸せに‥‥‥‥

   繋がっていて欲しい‥‥‥‥‥

と、桜は願っていた。
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