渡せなかった手紙の行方
みんな、顔だけを見ているだけなのではないか。

私はこんなパーフェクト男子は嫌いなんだ。昔から。

「……そうなんだ」

私は一言、吉澤君に素っ気なく言った。

「…千紘ちゃんは、教室にある花、毎日水やってるよね」

吉澤君が話しかけてくれるのに、私は下に俯いて、ゴニョゴニョと呟いていた。

「…っ…そうだけど」

一人で呟いた後、私は俯いて吉澤君に返事をした。

「千紘ちゃん。俺は千紘ちゃんが……」

「何やってんだよ。吉澤!」

そこには、私と同じクラスの島津(しまづ)君が吉澤君に声をかけてきた。

「…同じクラスの千紘。何してんだ」

島津君は、私を軽蔑しているのか低い声で私に言う。
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