渡せなかった手紙の行方

すると、ブゥブゥブゥと携帯のバイブ音が聞こえた。

それは、

「もしもし。あ、舞(まい)ちゃん?」

私は電話の相手といつもより明るい声で話し始めた。

「久しぶり!千紘、元気?」

電話の相手は、小学校が一緒で幼なじみの舞ちゃん。

週一回は電話でやりとりしている。

「元気だよ!相変わらず、友達はいないけどね」

私は口角をあげて元気に舞ちゃんと話した。

屋上は誰もいなく、自分だけの空間。

学校は居心地悪いけど、お昼休みの時だけ自分らしくいられる。

舞ちゃんは、今バレー部で一生懸命に頑張っていて、話を聞いているだけで楽しかった。

「千紘さ、なんか変わった?」

「え?なんで」

「だって、千紘明るくなった気がする。会ってないから分からないけど。そんな感じがする」

舞ちゃんはいつも正直に私に話してくれる。

だから、舞ちゃんの言ってることは信用できる。

「…っ、今日男子2名に初めて話しかけられたの」

私は素直に打ち明けた。

「えー!女子にまともに話しかけられないのに。男子から話しかけられたの」

「そう」
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