渡せなかった手紙の行方
お昼休みが終わると、私は机の引き出しに手紙を入れた。

今日の今日で渡すのは、ちょっとおこがましいかもしれないので、明日渡すことにした。

私はそのまま机の引き出しに置いていた。

だけど、ある人が私を見ていて、手紙がなくなったことに気づかなかった。

次の日

いつものように朝早く、教室にある花に水やりをしていた。

だけど、昨日の時間になっても吉澤君はいなかった。

教室ひとつひとつ回ったが、誰もいなかった。

島津君もいつも一緒なのにいなかった。

昨日のは幻だったのか。

私は首を傾げながら、自分のバッグの中にある今日使う教科書がちゃんとあるか確認した。

そのあと、私は机の引き出しに置いていた手紙があるのか見てみた。

だが、何回見てもなくなっていた。

私は、教室・屋上を走って探した。

だけど、どこにも見つからなかったんだ。

朝礼が始まると、私は衝撃なことを知った。

吉澤君が転校したというのだ。

担任曰く、急に親御さんの事情で急遽今日転校したのだ。

私は朝礼が終わると、吉澤君の教室を見てみた。

すると、クラスメイトは吉澤君の机を見て言っていた。

「吉澤君の机とロッカー、なんにもなかったね。昨日までロッカー、確か教科書とか色々入ってたんだよね。私、吉澤君がロッカー開ける時、見たから」

「へぇ、そうなんだ。本当に急だったね」

吉澤君が転校したということで、吉澤君のクラスメイトはその話題で持ちきりだった。

私はすぐに自分の教室に戻った。

その時、私の背中から視線を感じていた。

あの時誰かが私をみていたことに気づくのは先の話だった。
< 9 / 16 >

この作品をシェア

pagetop