あの日の空にまた会えるまで。


「ーーー……辛かったね、葵」

涙を流しながら真央に話をした。話し終えると真央は優しくそう言った。

「葵が奏先輩に気持ちをぶつけたのってそれが初めてでしょ。葵は充分頑張ったよ。今はたくさん泣きな。いつかは絶対に忘れられるから」

そんな日がいつの日か、本当に来るのだろうか。

「……真央」
「なに?」
「奏先輩、哀しそうだった。傷付いてた…っ」

最後がこんな形だなんて誰が想像できただろうか。

今回のことの謝罪とお礼を伝えることすら躊躇われるほどの終わり方。

自分から願ったことだとはいえ、こんな形で終わりを迎えるとは思わなかった。

「それは葵が気にすることじゃないよ。葵は伝えれることは伝えた。それがどんな形でも伝えることはできたんだから、それでいいの。心残りはあっても、終わりにすることはできたでしょ」

そういえば昔、真央が言っていた。
自分の中で消化できなかった恋をどうやって終わらせるのかと。

あの時の真央は恋をして忘れろと言っていた。新しい恋をして奏先輩のことなんて忘れろと。世にいう上書き保存というやつだろう。

忘れることはできなかったけれど、3年続いた次の恋は確かに心を楽にさせてくれた。縛られていた私の鎖を解いてくれたのは確かだった。

終わりになんて、できたのだろうか。
あんな酷い伝え方で、終わりにすることができたのだろうか。


< 131 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop