あの日の空にまた会えるまで。


私が倒れたあの日から、祐飛さんは毎日のように会いにくるようになった。

奏先輩が会いに来なくなったと思えば、次は祐飛さんかと自然とため息が出る。

直接何かを言われたわけではないけれど、これは馬鹿な私でも分かる。アプローチをかけられているのだと。

「…今日の予定は?」
「今日はバイトです」
「昨日もバイトだった」
「はい、昨日もバイトでした」

これは、あまりに断るもんだから疑われているんだろうか。

正直言って、確かにバイトが無いときにもバイトだと言って断ったことは何度かある。無いなんて言ってしまえば誘われるのは確実。応えるつもりが無いのだから断るしかなかった。

変に期待を持たせるようなことはできない。

「じゃあ、講義に行かないといけないんで…」
「待って」

こうして引き止められるのもいつものことだった。
いつもは何気ない言葉を一言二言残して去っていくのに、今日は違った。

「川橋と葵ちゃんの関係、分かったよ」
「っ!」

言われた言葉に息を呑む。

奏先輩と、私の関係…?

「ずっと気になってた。あのとき以来川橋を見ないし、なんとなく聞かない方がいい気がしてなにも聞かなかったけど、同じ中学だった奴見つけたから色々聞いてきた」
「なんで…」

そんなの聞いて、どうするの。


私が奏先輩の暇つぶしの二番目だったってことを知って、どうするの…?


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