あの日の空にまた会えるまで。





「……本当は知ってたんだ」


真央との約束まで時間があったため、蓮先輩と急遽近くのベンチに座り込む。蓮先輩が口を開いた。

「奏が交換大学ってやつで葵ちゃんの大学に来るってこと。奏に言われた時、葵ちゃんと同じ大学名だったから、遅かれ早かれ2人は再会するんだろうなって思ってた」
「そうなん、ですか」

正直言って、色々なことが突然すぎて頭の中が追いついていけてない。パニックと言ってもいい。

せっかく蓮先輩のおかげで少しだけ気持ちが楽になったというのに、突然の出来事にまた振り出しだ。なんだったら以前よりももっと気持ちがごちゃごちゃになっている。


ーーー会いたい、と言ってた。

そして謝りたいと。


「葵ちゃんは俺が悠斗から2人のこと聞いたと思ってるんだろうけど、違う。俺が聞いたのは奏だよ」
「え…」
「2人が再会したとき、奏から電話があったんだ。あいつもだいぶ戸惑ってたけどね」

そりゃ、戸惑うよね…

あんな終わり方をした相手に6年後突然再会するんだもん。あの優しい奏先輩なら戸惑って困惑するに決まってる。

「……いつから、連絡を取り合ってたんですか?」

私は知らなかった。蓮先輩が奏先輩と既に連絡を取り合っていたこと。

蓮先輩は申し訳なさそうな顔で言う。

「…高校2年のとき。いきなり電話が来たんだ。それまでは居場所も何も知らなかった。ごめん、黙ってて。言っていいか分かんなかった」
「……謝らないでください」

たとえその時、蓮先輩がそれを言ってくれていたとして、私の中では何も変わらなかっただろう。連絡を取ろうとも思わない気がする。それを知ったところで、私はきっと何もしない。できない。


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