あの日の空にまた会えるまで。
蓮先輩は切なげに笑った。
「ビックリしたよ。中学校卒業間近ってときに突然消えたやつから連絡が来るんだもん。その時はめちゃくちゃあいつのこと責めた。怒鳴って、マジギレして……でもやっぱり俺、あいつのこと大事な友だちだったからさ、情けないけど泣いちゃったんだよ」
「……」
「何かあったんなら相談くらいしろって、突然消えたりすんなって…」
「……」
「……奏、葵ちゃんのことも言ってたよ」
「えっ」
咄嗟に顔を上げた。
「最低なことをしてしまった。もう、思い出すことさえきっと俺は許されない…って」
「…っ」
無意識のうちに静かに涙が流れた。
その涙を、蓮先輩は優しい指先で拭い取ってくれた。
「ねぇ、葵ちゃん。奏が消えた理由、知りたくない?」
知りたい、けど。
「奏はね、葵ちゃんが思うほど、真面目じゃないし普通じゃない。あいつには抱えている絶対的な闇がある」
「やみ…?」
「人には到底理解のできない、奥深いものだよ。中学の頃、奏から時々違和感を感じたことなかった?」
違和感…?
そんなの、一度も感じたことない。
「ない、です」
「あー…まぁ考えてみれば奏は葵ちゃんだけは特別視してたからもしかしたら無意識のうちにありのままの自分でいれたのかもね」
どういう意味…?
「俺は時々感じるよ。ふとしたとき、あいつは酷く冷酷で残酷で悲しげになる。表に出さないようにって気を張ってはいるみたいだけど、長い間友だちやってると始めは違和感だったそれが明確になってくる。奏には何かがあるんだって、嫌でも気付く」
そこでハッとした。
長い間、思い出さないようにと硬く蓋をしていた思い出たちが頭の中を駆け巡っていくような感覚が私の全てを覆い尽くしていく。
そうだ。
あの時も、あの瞬間も。
ふとしたときに、奏先輩はーーー。