あの日の空にまた会えるまで。
悠斗がいつも話の分かる奴がいねぇ!と嘆いていたのを思い出す。
「悠斗、良かったじゃん。同じ趣味の人が欲しいって言ってたもんね」
漫画やアニメ好きの人は沢山いるけど、その中で「話の分かる人」というのは数少ないんだと悠斗が言ってた。
自分の話を理解してくれない人、反対意見を述べてくる人、そもそものジャンルやタイプが違う人、たとえ同じ漫画が好きでも、自分の好きなキャラクターやストーリーを否定する人、などとやはりどこがでフィーリングが重ならないんだと。
自分の好きを理解して肯定して、ただ話を聞いてくれる上にキャラクターやストーリーを分かっている人に出逢いたいといつだったか、悠斗は熱く語っていた。
「まぁなー。んで、俺らこれから漫喫行って映画行ってくるわ」
おぉ…早速デートですか。
「講義は?」
「私はもうないよ」
「俺はある」
「……」
そんな胸を張ってあるなんて…そんな自慢気にサボりますと言わなくても。
「まぁ、代えがきく講義だから。問題なし!」
「ああ、そう」
「じゃ、行ってくるわ」
嬉しそうな悠斗に続いて、春ちゃんがバイバーイと手を振りながらランチルームを出て行く。
なんだか…うん、仲が良くなったのは良いことだ。そして悠斗がめちゃくちゃ嬉しそうだった。
「悠斗、良かったねー」
2人の後ろ姿を見ながらそんなことを呟く。
呟いた途端、真央が身を乗り出した。
「良かったねじゃないよ!あんたどうすんの!?」
「何が?」
「あの2人よ!悠斗が春と付き合ったりしたらどうすんのよっ」
「あー…またそれ?」
本当、真央も飽きないな。悠斗と別れてからというもの、いつまで経っても真央はそればかり言ってくる。
悠斗と付き合ってたという過去ですら夢だったのかというくらいに今は友だちなのに、何度言えば分かってくれるんだろう。