あの日の空にまた会えるまで。
「蓮先輩は奏先輩に会うことあるんですか?」
アイスが口の中で溶けたタイミングで蓮先輩に尋ねる。
まぁ別に聞いたところで何かあるわけじゃないんだけど。
「んー、時々連絡は取るけど、わざわざ会う約束はしてないよ。葵ちゃんといるときに奏に会ったときあるじゃん?あれから会ってないかなー」
「…なんだ、私頻繁に会ってると思ってました」
なんならキャンプでの話も一足先に奏先輩から聞いてるかもしれないとさえ思ってたのに。
「なんでよ。そんなことないって。カップルでもあるまいし」
「でも交換大学が終わったら奏先輩帰るじゃないですか。遠くに行くでしょ?」
「遠いと言っても1時間くらいの距離だよ。一生会えない距離じゃないじゃん」
「えっ」
「ん?」
なんだか今、知りたいようで知りたくなかったことを聞いてしまった気がする。
1時間ほどの距離って……
思ってたよりだいぶ近い。
「……もしかして知らなかった?」
「…はい」
「え、まさか俺、地雷踏んだ?」
地雷って。そんなことはないけど…少しビックリしているだけで…。
確かに私たちのいる此処は中学の校区や区域からはだいぶ離れている。2時間ほどは離れているだろう。だからこそ私も実家を出て大学が管理しているマンションで一人暮らしをしているわけだけど……ちなみに真央も同じマンションで一人暮らしだ。
逃げるために遠くへ行った奏先輩が、思っていた以上に近くにいることに純粋に驚いた。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
でも、だからって何があるの?
1時間の距離だからなに?交換大学が終わってからもどこかで会うかもしれないって?ないない。1時間の距離だからって私には関係ないじゃん。戸惑う理由も何もない。