君の155センチ
制服に着替え寝癖のついた髪を直しに洗面所に向かった。

「尚は今日も小せぇな〜…はぁあ」

洗面所には俺より身長が20cmも高い大学3年の兄貴があくびをしながら立っていた。

「うっせぇよ」

これが俺らの朝の挨拶がわりになっていた。

父親は180cmあるが母親が150cm。
そんな家庭に産まれた俺は母親の遺伝からか中学3年から変わらずだ。
高校1年で155cm。
自分でも小さいと思う。

兄貴や他の同級生が羨ましかった。

いくら牛乳を飲んでもジャンプしてみても背伸びをしても1ミリも伸びなかった。

『男は高校からぐんっと身長は伸びるもんだ』

そんな父親の言葉を信じていた自分がバカみたいに思えてきた。
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