君の155センチ
ガタガタと教室中に机が動かす音が響き渡った。
他のクラスからも同じような音がちらほら聞こえた。

5分程でそれぞれの席に皆座った。
紗菜は2列挟んだ斜め前の席にいた。
私の席は一番後ろの窓際で校庭が見えるいい席が当たった。
そして前の席は朝田くんだった。

「じゃ、今日は解散で、さようなら」

3限が終わった。
皆が立ち始め私も部室に向かおうと立ち上がった。

「席借りてもいい?」

前から声が聞こえカバンを持とうとしていた手から前の席へ視線をやった。
ニコッと笑いながらこっちを朝田くんが見ていた。

「あ、はい」

急に話しかけられ素っ気ない態度をとってしまった私に朝田くんの笑顔が眩しかった。

「ありがとう。席前後だしよろしくな」
「あ、、お願いします、、」

私は元々男の人と話すのが苦手で彼氏も今まで1人しかできたことがない。
家族も姉と私と母の3人暮らし。
父は単身赴任中で普段から男の人と話すことが少ない。
喋り慣れてないせいなのかいつも下を向き、顔を見て話すことができない。

「授業中、俺が寝てたら起こしてね」

下から覗き込むように私の顔を見て朝田くんはそう言った。
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