擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
「私、考えましたの。あなたは容姿も劣るし気品もないのに、どうして雄大さまの御心を射止めたのか……。だって私は、あなたには無いものをすべて持っていますのよ。家柄、気品、美貌、魅惑的な肢体、夜の技術、諸般のたしなみ。雄大さまにとってはこれ以上なく最適な妻だと、自信を持って言えますわ……それなのに私に惹かれないなど、通常あり得ないことですの」
連城の瞳がモンスターのようにギラギラと光って見え、亜里沙の背筋がゾゾッと震えた。デスクを拭きに来たときに感じた印象は、気のせいではない。
会ったら言づける。
さりげなくおばちゃんとの約束を果たしつつ、〝社長室の〟の先の言葉を引き出したい。
亜里沙は緊張でかわいた唇を舌で濡らし、口を開いた。
「掃除婦になった目的はなんですか? あなたのような人には清掃のお仕事は合わないし、もっと気品ある仕事がいいと思いますけど」
「ええ、その通りですわ。私にはこんな下賤な仕事は合いませんの。それでも掃除婦になったのは、堂々と社長室に入る為ですわ。そこで雄大さまに、この上ない極上の愛とこの美しい肢体……それに喜ばせる技術を披露するつもりでしたの。そうすれば、一気に虜になりますでしょう?」
連城は自分の体のラインをなぞるように、手のひらで擦った。
作業着の上から感じられる豊かな胸とくびれた腰は、女性から見ても妖艶に映る。