擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
すっと通った鼻筋にシャープな顎のライン。溜飲するたびに動くのどぼとけは、男性的な色気を放っている。
ほんとうに、素敵な人なのだ。
「ん? 亜里沙、どうした?」
「な、なんでもない。ただ、カッコイイなーって思ってただけ」
彼に『私は極上の妻ですか?』なんて、恥ずかしくて訊けない
家事もお仕事も頑張ってこなしているけれど、そのほかいろいろ……満足してもらえてるのか。
「亜里沙はすごくかわいいよ。いつでもどこでもきみに触れていたい。こんなふうに愛に溺れるのはきみだけだ」
珈琲を零さないようにやさしく肩を抱き寄せられて、彼から伝わる熱を受け止めるためにそっと目を閉じる。
身のうちに触れられるのを許せるのは、彼にだけ。激しくも甘い彼からの愛にうっとりと身を任せていると、体がすっと横たえられた。
手にしていたマグカップは、いつの間にやらテーブルの上に置かれていた。覆いかぶさっている彼の瞳には獣の艶が宿っている。
その瞳が首元に近づいてくる際に問いかけた。
「私は……かわいい、だけ?」
それだけではすぐに心が離れてしまいそうで、不安になる。
「違うよ。前にも言ったけど、きみの手料理は俺好みで考え方も俺と合っているんだ。それに、仕事をしているのに家事全般頑張ってくれているだろ。きみは素晴らしい妻だよ」
「ほんとう?」