擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
恋の終わり 愛の始まり


 六章 恋の終わり、愛の始まり



 六ツ星ホテルの最上階にあるレストラン。眼下にはキラキラ輝く夜景が広がり、訪れる人の目を楽しませる、有名な五ツ星レストランだ。

 亜里沙は淡いピンク色のドレスに身を包み、レストランの個室で彼とフレンチを食している。

 擬似結婚をしてからは初めてのホテルでの外食は、彼からの強い希望で叶ったもの。

 六ツ星ホテルに見合うピンク色のドレスは、今夜のためにと、彼からプレゼントされたものだ。

「亜里沙、綺麗だよ。やっぱりきみはフェミニンなものが似合うね」

 テーブルの向こうから微笑みかけてくる彼の瞳は優しくて、亜里沙の胸をときめかせる。

 思えば最初にリゾート地で彼に買ってもらった服もフェミニンだった。


 自分の雰囲気が彼の好みに合うのは、とてもうれしい。

「ありがとう。こんな素敵なレストランも予約してくれて。三ヶ月先まで予約でいっぱいってうわさだもの。きっと今夜のことは忘れないわ」

「そうだね。でもこれからもっと、きみには一生忘れられない特別な夜になると思うよ。俺にとっても」

「え、それはどういうことなの?」

 きょとんとする亜里沙に対し、彼は少し緊張した面持ちで見つめ返してくる。

 そして静かに席を立ち、亜里沙のそばまで来てひざまずいた。

「……雄大さん?」

 慌てて彼の方に向き直ると、そっと手を握られた。
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