擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー

 亜里沙の髪を撫でる彼の指先が甘くて心地よくて、猫のように目を細める。

 そんな表情を愛し気に見つめながら彼はささやくように言った。

「今からは敬語禁止。会社では仕方ないけど。それから、苗字呼びもダメだよ。夫婦だからね。雄大って呼んでみて」

 たしかに彼の言う通り、苗字呼びはおかしい。

 けれど、いきなり名前呼びするのはとても気恥ずかしくて、亜里沙は小さな声を出すのが精いっぱいだ。

「ゆ……雄大さん」

 勇気を出して彼の名を紡いだ唇は、蕩けるような笑顔の彼に塞がれた。

 伝えられる言葉からも、肌に触れる指先からも、彼の熱が伝わってくる。

『再現する』と言われた通りの、それ以上とも言える彼の情熱すべてを身に刻まれた。

 就寝する頃には、亜里沙のアクティビティな日に、もう一つの感情が加わっていた。


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