擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
トキメキ戸惑う愛され生活
三章 トキメキ戸惑う愛され生活
亜里沙は微睡みの中で仄かな明るさを身に受け、朝が来たことを感じ取っていた。
あたたかくて、とてもいい匂いがする。
まるでアロマキャンドルに火を点したような、甘くて穏やかで落ち着く香りだ。
──この匂い好きだな……。あれ? でもそういえば私、いつ新しい芳香剤を買ったんだっけ?
のんびりとした思考が鮮明になってくると、亜里沙はうっすらと目を開けた。
視界に入るのは、どこまでも続く白いシーツと紺色のカバーがかけられた掛布団──。
「……違う!」