擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー

「それは、ある。豆も種類豊富に取り揃えてるから、日替わりで楽しめるよ」

「そうなんだ……珈琲好きなんですね」

「実はマイスターの資格を持ってるんだ。だから、これから毎日亜里沙に美味しい珈琲を飲ませてあげられるよ」

 珈琲マイスターとは、珈琲豆や産地などの豊富な知識と抽出技術を習得し、試験に合格した人のことらしい。

 カフェで珈琲を提供できる資格……彼も手に職を持っているなんて意外だ。

 亜里沙も珈琲は好きだから、美味しいものが飲めるのは素直にうれしい。

「でも、普段の朝食はどうしてるの? まさか珈琲だけ、とか」

「仕事のある日は近くにあるカフェで済ませているし。休日は遅く起きるから珈琲だけ飲んで、後は外食することが多いよ」

 基本的に料理を作らないから、食材も買ってないわけだ。

「でもこれからは私が作るから、お買い物に行かないといけないわ」

「そうだな。一緒に買い物に出かけようか。亜里沙のアパートにも寄って、身の回りのものを取りに行ったほうがいいだろう。でもその前に、珈琲を飲もうか。とびきり美味しいのを、俺が入れるから」

 亜里沙も起きて、と言われて渡された紙袋の中身を見ると、多くの女子が好きなファッションブランドのひとつに上げる『LISA』の服が入っていた。
< 85 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop