こんなにも愛しているのに〜それから
「お母さんはお父さんのこと、好きなんでしょ?
でも
私のせいでこういうことに
なっているんでしょ?」

ましろは泣き出しそうになっていた。
父と母の事を話すとき
いつも冷静な子が幼児の時のような
泣き顔になる。

「ましろ。
お母さんも本当に私たち家族にとって、
何が正解か、わからないのよ。」

私は箸を置いた。
そして
意を決したようにして娘に尋ねた。

「ましろは
あの日
お父さんとあの女の人がいたホテル。。。
どういうホテルか意味は
わかっているのよね。」

「わかっている。
わかっていたから、お父さんが
大嫌いになった。」

「結果から言うと、お父さんとあの人とは
そういう関係はなかったの。
ホテルに一緒に入るような
男の人と女の人の関係ね。

一度もそういうことがなかった。
って二人から聞かされたの。
でもね。。。」

いつかましろに話さねばと、
それがいつかは
娘がもっと大人になってからと
思っていた。

娘は自分が父の情けない姿を見て
大騒ぎをしてしまったから
両親の仲が壊れたと
思い込んでいる。

その罪悪感を取り除いてあげられるのは
真実を言って取り除いてあげられるのは
今かもしれないと
思った。

「二人で食事に行ったりはしていたの。
しかも、
あのお父さんが自分でお店を予約してね。
それも月に2、3回も。
一番許せなかったのは、
仕事で一緒に行けないと
お母さんに言いながら、
彼女の誕生日祝いをするために
二人でレストランで食事をし、
プレゼントまで自分で選んで
あげていたの。
その日が廉の命日の日。
彼女のお誕生日が廉(れん)の命日と同じ日で、
彼女それを知っていて
お父さんに自分か家族かを
選ばせたみたい。。。」

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