こんなにも愛しているのに〜それから
「ましろ。
ましろは何も悪いことはしていない。
間違ったこともしていない。

そういうふうにましろに罪悪感を持たせた
お父さんが、悪い。

お父さんのことを
気づいていながら、それを知りたくなくなくって
知らんふりをしていたお母さんが悪い。

ごめんね。
ましろに辛い思いをさせることに
なってしまって。」

ましろの手を握って
真っ直ぐに瞳を見て
謝った。
樹の分も。

「お父さんとお母さんは
私にとってお父さんとお母さんだけど、
あの日、お父さんが男だったんだって、
お父さんのことを思って泣いている
お母さんは女だったんだと、
思ったら、
何だか、
訳がわからないくらいショックだったの。

自分の両親が知らない人みたいに
思えちゃって、
自分はどうすればいいんだろうって。。。」

ましろを迷子にしてしまっている。
両親が揃っていながら
親が親であるということを
蔑ろにしてしまったために
娘が苦しんでいる。

「ましろはましろのままでいい。
お母さんは、そんなましろが大事。
ずっとましろのお母さんでいたい。」

たくさん言いたいことはあったけど
何とか
ましろを安心させる言葉を言いたかったけど
お母さんでいたい
それしか言えなかった。

「ありがとう。
お母さんの愛は重苦しいほど感じている。」

「重苦しいって、、、」

「私が心配で、
ずっと私を気にかけてくれているでしょ。
私がどこにいても、何をしていても。
でもね
私はお父さんと違うから、
苦しくなったらお母さんに
ちゃんと言う。

だから
お父さんにその重苦しい思いを少しずつ
分けてあげたい。」

私たちが一歩も進んでいないのに
娘のましろがいつの間にか
何歩も先に進んでいた。

きっと
父と母が歩み寄っていかないと
結果がどうあれ
私たちがもっと心のうちを
さらけ出していかないと
ましろもこれ以上進むに
進めないのかもしれない。


あなた自分の娘が
こんなにも大人になってたって
知ってる?
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