こんなにも愛しているのに〜それから
衝撃の言葉だった。
この人のため、
お腹の子のためと
思って
本当に大事に育てる気持ちだったのに
彼女はそれでは
自分が母親になれない、、、と。

私は
またもや
母親から子を
子から母親を奪おうとしていた。

「奥さんは、私が可哀想だからとか
この子が可哀想だからとか
思って
おっしゃってらっしゃるんでしょうけど、
どうして
可哀想なんでしょうか。
可哀想だと
言われるんだったら
私を奥さん公認の愛人にしてください。
専務とこれからも会えるように
認めてください。」

彼女が言い放った。

「そんな駆け引きはやめてくれ!
僕にそんな意思はない!
卑怯だの人でなしなど、
どんなに言われてもいい。
でも
罪悪感だけで、人を引き摺らないでくれ。
それで
僕が社会的に抹殺されてもいい。
全てを捨てて、一人で生きていくから。
もう君とは
二度と関わり合いになりたくない!」

則文の悲痛な声が響く。

「ご自分で後始末もつけられないようなこと
するからですよ。
私が、こんなに専務のことを思っているのに
軽い女のように私を扱うからですよ。
何より
自分のことをそんなにも愛していない
奥さんの方がいいなんて、、、
馬鹿みたい。。。」

「どうして私の則文への愛が、あなたより
劣ると思うの?
自分の思うように自分を愛してくれない則文が
馬鹿みたいなら、
人のこともよく知らないで、
そういうことを言う
あなたもおかしい。。。」

この
坂上佳代子という女性が怖くなってきた。
もしかしたら
自分の思いが通らないなら
警察沙汰になりそうなことも
しでかすかもしれない。
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