こんなにも愛しているのに〜それから
「でも、
安心してください。
専務の子供じゃありませんから。」

「!!」

驚いて何のリアクションもできない私たちは
この悪魔のような女性の一人舞台を
見させられているで、
本当に
悪酔いをしたように気分が
悪くなってきた。

「専務のことは本当に好きだったんです。
自分の汚れ切った生活の中で、
一筋の希望の光のように。
奥様にも憧れていました。
自分の意思で、仕事をされて。
何のかんのと言いながらも、
仲の良いご夫婦なんだろうなぁって。

でも
魔がさしてしまったんです。
あの居酒屋で、一人で飲んでいる専務を見て。
あぁ
この人が欲しい。って。」

うっとりと
その時を背景に
彼女は
自分が書いたシナリオのセリフを
読んでいるかのようだった。

「本当にうまい具合に専務と身体を重ねて、、、
オンリーナイトなことにさせるもんかと
頑張ったんですが、
私の思いは通じることはありませんでした。
オスとしての本能で、私を抱くだけで
決して愛してはくれない。
少しの好きも感じませんでした。

奥様には、
聞きたくないような私たちの関係ですけど
本当に
これっぽっちも愛してくれなかったんです。
ねぇ、専務。」

微笑みさえ浮かべる彼女に
則文は怒りとも恐れともない混ぜになった
表情で、
彼女を見据えていた。

「初めて身体を重ねた時
私は専務にキスを仕掛けました。
私を食い尽くすかのような
キスをして欲しかった。
そしたら
やめてくれって、、、
言われて、、、
切なかったです。

次に身体を重ねたときにも、
強引に唇を重ねたら
一気に萎えてしまわれたんです。

酷いでしょ。

きっと
キスしたら奥様じゃないっていうことが
まざまざと思い知ることになって
罪悪感が募られたのでしょうね。

そうです。
私は
セフレです。
単なるセフレ、、、

私のことなんか何もご存知ではないし
知ろうともなさらなかった専務。
それでも
専務との間に子供ができたらって
本当に思っていました。」
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